Wine Q&A

[ワインをおいしく飲むための Q&A]

(1) ワインとは

<Q-1>ワインとはどういうお酒ですか。

<Q-2>ビールや日本酒との違いは。

<Q-3>ワインの個性のちがいは、どこからでるのですか。

<Q-4>ワインにはどのような種類がありますか。

<Q-5>スティル・ワインの中で、赤・白・ロゼはどうやってつくり分けるのですか。

<Q-6>甘口、辛口の違いはどこからくるのでしょうか。

<Q-7>シャンパンとスパークリングワインはどう違うのですか。

<Q-8>貴腐(きふ)ワインとはどんなワインのことですか。

<Q-9>ワインにするぶどうは、普通にたべているぶどうとは違うのでしょうか。

(2) ワイン選びのコツ

<Q-11>ボトルの形で産地が分かる、と聞いたことがありますが。

<Q-12>ワイン商(ネゴシアン)とは何ですか。

<Q-13>元詰ワインの方が、ネゴシアンワインより上等だと聞きましたが。

<Q-14>ワインの格付けについて教えてください。

<Q-15>ヴィンテージとはなんですか。

<Q-16>良い年のワインの見分け方を教えてください。

(1) ワインとは

[Q-1]ワインとはどういうお酒ですか。

ワインとは一般的に果実を醸造したお酒です。なかでももっともポピュラーなのはやはりぶどうを醸造してつくったワインでしょう。ぶどうには適度な酸と糖分が含まれており、その皮には自然の酵母がついているため、つぶして置いておくだけで自然に発酵してお酒になります。ただおいしいワインをつくるためには、自然のままでは不十分です。やはり人の手によるさまざまな努力が必要となってくるのは言うまでもありません。

[Q-2]ビールや日本酒との違いは。

ビールや日本酒は乾燥した穀物を原料とするため、年間を通じてコンスタントに生産できるのに対し、ワインはぶどうの採れる季節にしか醸造できません。
醸造工程から言うと、穀物のばあいは、まずでんぷん糖に変えるプロセスが必要になります。つまり日本酒ならこうじ菌、ビールなら麦芽のなかに含まれている酵素の作用によってでんぷんを糖化します。そうしてできた糖を、今度は酵母の作用でお酒にするのです。ワインの場合は果実の中にすでにある糖を利用できるのですから、醸造のプロセスが一段階少なくすむわけです。

[Q-3]ワインの個性のちがいは、どこからでるのですか。

大きく分けると4つの要因がかんがえられます。
1番目は、ぶどうの品種です。ぶどうには品種ごとにそれぞれの味わいがあって、品種が違えば間違いなく別の味のワインになります。
2番目は気候です。ぶどうは、年間の平均気温10〜20℃の温暖な地域に育ちますが、地域ごとに気温・日照時間・湿度・雨量などが違ってきます。ですから同じブドウ品種を栽培しても微妙に個性の違うワインができるわけです。
3番目は土壌と地形です。畑の土質、つまり石灰質が多いか、粘土質か、あるいは砂利質。あるいは土地が平坦か急斜面か、南向きかなど、それらすべてワインの品質にそのままはねかえってきます。
最後は人間です。それぞれの作り手の手のかけ方や、最終的にどういう味わいのワインをつくろうとしているのかによって全く違うワインをつくることが可能です。

[Q-4]ワインにはどのような種類がありますか

まず製法上からは、次の4つに分けられます。
(1)スティル・ワイン
ほとんどのワインが、これ。ワイン醸造のプロセスを完全に終わり、炭酸ガスを残さないワインです。泡が立たないところから”スティル・ワイン”静かなワイン)といわれます。
(2)スパークリングワイン
泡の立つワインという意味です。発酵中にでてきた炭酸ガスをそのまま閉じ込めてつくります。作り方には4種類あって、1つは、いったん発酵を終えたスティル・ワインを瓶に入れ、砂糖、酵母菌を加えて第2次発酵させる瓶内2次発酵法です。代表的なものにシャンパンがあります。2つめは、タンク内で大量に2次発酵させたものを瓶つめる、シャルマ法です。3つめは、ビールのように1次発酵でできた炭酸ガスをそのまま閉じ込める方法。そして最後が、スティル・ワインに炭酸を吹き込む製法です。
(3)フォーティファイド・ワイン
ふつう、アルコール強化ワインとかに訳されています。スティル・ワインをつくる途中、あるいはつくってから、主としてブランデーを添加し、アルコール度数を高めて酵母菌を生存できなくし、発酵を止めたり、味にコクをもたせると共に日持ちするようにつくりあげたものです。シェリー、ポートなどが代表的です。
(4)フレーバード・ワイン
アロマタイズド・ワイン(aromatized wine)とも言われ、混成ワインと訳されています。ワインの中に、薬草、香草、あるいは蜂蜜や果汁などを加え味に変化を与えたもので、イタリアのベルモットは香草系の代表、スペインのサングリアは果汁系の代表です。

[Q-5]スティル・ワインの中で、赤・白・ロゼはどうやってつくり分けるのですか。

赤ワインの場合は、一般的に黒ぶどうを破砕機でつぶしたものから果梗を取り除いて、果汁を果皮や種子と一緒に発酵させます。この際、高めの温度でより長く置くにしたがって色が濃くなります。
白ワインは、主に白ぶどうを使い、普通は圧搾機で絞ってつくった果汁だけを発酵させてつくります。
ロゼワインの場合は、赤と同じように果汁と果皮、種子を一緒に漬け込み、ちょうど色がバラ色になったところで、圧搾機にかけて果汁と果皮、種子をとり除き、その果汁を発酵させてつくります。
この他に黒ぶどうを絞っただけですでにロゼ色の果汁がとれてしまい、それを発酵させただけ、というようなロゼワインもあります。

[Q-6]甘口、辛口の違いはどこからくるのでしょうか。

ぶどうの果汁は、放置しておけが最後まで発酵してしまい、糖分がすべてアルコールに変わってしまいます。ですから、甘口のワインをつくるためには発酵を途中で止めて糖分を残す必要があるわけです。たとえば、冷却して酵母の働きを不活発にしてろ過したり、あるいは、ブランデーなどを添加してアルコール度を高めるなど、いくつかの方法があります。後者の製法により誕生したのがフォーティファイド・ワインです。

[Q-7]シャンパンとスパークリングワインはどう違うのですか。

シャンパンとは、フランスのシャンパーニュ地方でつくられるスパークリングワインだけが名乗ることができる、いわば産地名に由来した名称です。しかもシャンパーニュ地方でつくられればすべてシャンパンと呼べるわけではなく、フランスワインの法律であるAOCにしたがって栽培から醸造そして瓶内2次発酵まですべて厳密に行われ、最終的に品質検査を受けて合格したものだけが”シャンパン”と名乗ることができるのです。

[Q-8]貴腐(きふ)ワインとはどんなワインのことですか。

ぶどう畑のには、さまざまな菌がおり、それらの害からぶどうを守るために、つくり手はこまめに畑を観察し、手入れを続けます。
これらの菌の中でボトリティス・シネレア菌(Botrytis cinerea)は、特殊です。未熟な実や果梗などに付くと腐敗をおこしますが、成熟した実に付いた場合は、素晴らしいワインを生む貴重な房となるのです。
この菌の付着したぶどうは、果皮の表面のロウ質が溶かされ、果粒中の水分蒸発が大きく促進され、その結果ぶどう果の糖度は大きく上昇します。この現象を貴腐といいます。貴腐をおこしやすいのは、比較的果皮のうすい品種のぶどうです。
貴腐ぶどうからつくられるワインは、糖度が高いため発酵は長い時間をかけてゆっくりと進みます。また、ボトリティス・シネレア菌によってグリセリン、グルクロン酸など、さまざまな物質がつくられ、複雑な風味が生まれます。貴腐ぶどうからつくったワインは、ごく甘口、芳香豊かで、とくにデザートワインとして珍重されています。
貴腐ぶどうからワインをつくっているのは、フランスのボルドー地方ソーテルヌ地区(セミヨン種、ソーヴィニョン・ブラン)、ドイツのライン地方とモーゼル地方(リースリング種)、ハンガリーのトカイ地方(主にフルミント種)、などです。
査を受けて合格したものだけが”シャンパン”と名乗ることができるのです。

[Q-9]ワインにするぶどうは、普通にたべているぶどうとは違うのでしょうか。

ぶワイン用のぶどうには、生食用のぶどうとは違う条件が必要です。生食用では、糖度が適当にあり、香りや食味が良ければ酸は少なくても充分で、むしろ店頭に並べても傷まない丈夫さや果粒の大きさ、形の良さが大切な要素になります。ワイン用のぶどうでは糖度も酸度も共に生食用より高いことが要求され、果実の丈夫さや果粒の大きさなどは問題になりません。むしろ小さい果粒のほうが果皮部が多く、香味成分や色素などワインに有用な成分を多く含んでいるために好まれています。また、生食したときに良い香りでも、ワインにすると好ましくないような場合もあります。
ワインにするぶどうの主なものには、赤ワイン用のカベルネ・ソーヴィニョン、メルロ、ピノ・ノワール、サンジョヴェーゼ。白ワイン用のシャルドネ、リースリング、ソーヴィニョン・ブラン、セミヨンなどがあります。